臍からキノコが生えた日には

例えば人間、川に落ちればカエルの子。

『芳年展-練馬区立美術館-へ行く』

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練馬区立美術館で「芳年 激動の時代を生きた鬼才浮世絵師」が絶賛開催中なので行ってみる。

前回記述の

www.yinkabiru.com

 

で楽しみにしていた芳年略画が見れるかなと思ったのだが、会場内で

もらえる目録によると1点のみ”応挙の幽霊/雪舟活画”が今回展示があるらしいのだが、

なんと後期だけだった。
うん、二回目(後期)に来てね。ということか。こんちくしょう。
楽しみにしていたのに。

それでも、素晴らしい作品が色々と観れるので涎を垂らしながら、向かった。
向かう途中、自転車を駐車中のお姉さんが2台の自転車を派手に倒していたので、

そっと手助けをした。今日は風が強かったので倒れやすいのだろうと思いつつ。

(台風が19号と20号ダブルで近づいていた)

 

「ありがとうございます」

 

「いえ」


自分で言うのもなんだが、いつもながら気の無い返事である。

しかし、笑顔では答えた。

 

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平日の昼過ぎにしては、そこそこに人がいる。冒頭の看板も最初カメラに収めようとしたのだが、お姉さんが撮っていたので後にした。


それにしても、今日は暑い。昨日までそこそこ過ごせる気温だったのだが、
今日は暑い。なので、館内に座って少し休んだ。他で開催中のいろんなチラシがあるので、少し物色する。ミケランジェロ展も行きたいなぁ。
ピエール・ボナール展もあるのか、そういえばジョジョ展もあったっけ。
むふ〜ん。

 

東京都写真美術館の”愛について アジアン・コンテンポラリー”は感覚的に面白そうだと思った。中国・香港・台湾・韓国・日本、とかこの後どう変わっていくのか、文化や景観もアメリカナイズされていくのか、そういえば飲屋街とか横丁も少しずつ無くなっていっているとかで、ツイッターでも誰かが存続を呼びかけていた。なんだか残念だ。どんどんと平面化されていっているようで。あのなんかゴチャッてしてるのが好きなんだけどな。ゲロとか汚物とか危険な匂いが満載で。

 

やっぱり大規模な展示会より落ち着いていていい。まぁでも人はいるけど。練馬区立美術館でいいところは、作品にギリギリまで近寄って鑑賞できるところ。大体のところは柵があったり、ケースに収まっていたりするのだけど、額に入って壁掛け状態なので近くで見やすい。から摺りが良くわかる。

([浮世絵技法用語説明](http://www.tt.rim.or.jp/~haruto/ukiyoe/yougo/gihou.html))

 

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現代の漫画の祖が浮世絵とよく言われているが、縦長の構図で物語を語っているのをみると、漫画のコマ割りと表現方法が同じなのが良くわかる。
動きを絵に閉じ込めると言うことは同じなのだけれど。西洋画にみられるようなカチッとしたポーズではなくて、やっぱり動いているのを切り取ってる感じに近いのかもしれない。写真に近いのかな。特にストーリー性のある浮世絵は。

 

ううん。いいね。和服の色使いの参考になる。時代的に江戸〜明治なので、きちんと生で日常的に着ている和服を見て描かれているから、作者の頭の中の想像ではないので、実益というか参考になる。
現代人が描くとどうしても洋服しか見ていないので、想像が入ってしまうけど。きちんと見れて、それを描けているのが羨ましい。
ファッションとかコーディネートの色使いの参考にもなる。

 

前半はやっぱり、師匠(国芳)の味が出ていて江戸の浮世絵だなという感じがする。

そして主線が太い。筆の留めが出ている。ぎゅっていう。
これも好きだけど、やっぱり明治に入った後に描かれたのが好き。
主線が細くなっている。

下書きも鉛筆に水彩で描かれていたりしているので、イラストに近くなっているのかもしれない。
それにしても、色が鮮やかに残っていてすごいなと思う。

保存状態がすごくいいのだろう。

 

No.134 全盛四季 冬 根津花やしき大松楼(蜘蛛のモチーフの着物がいい)
No.145〜152 芳年武者无類シリーズ(特に150)
No.169 平維茂戸隠山鬼女退治之図(水辺に本性がでる)
No.171 浪裡白跳張順黒旋風李逵江中戦図(蛸がいい)
No.209 新形三十六怪撰 老婆鬼腕を持去る図(生の版木がすごい)
No.240〜263 錦絵修身談 巻二(No.248のワァーってなってる子供が好き)

 

かなりのボリュームで疲れたけど、満足して会場出口へ。
最後に、第三展示室だったかに芳年と同じ時代を生きた

”小林清親”と”井上安治”の展示があった。

練馬区立美術館所蔵品だったので、図録に載ってないのが惜しい。
全国巡回展で同じ図録を扱っていることはコスト面ではいいかもしれないが、

こういう固有の所蔵品が載ってないのは、本当に惜しい。勿体無い。
モッタイナイお化け。

 

物販は、図録は持っていたので買わなかった。
Tシャツが2種類あったので、それも目当てで行ったのだけれど、
”タテロゴ 玉兎 孫悟空”はMサイズ売り切れ・・。いいね人気だね。
”おもい津々羅”はイラスト風にアレンジされていてなんか思ってたのと違ったのでスルーする。

この値段プラスいくらかで”衣”でTシャツを買おうかな
そして”タテロゴ 玉兎 孫悟空”はgraniphの実店舗にあったら買おうかな。

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https://www.graniph.com/shop/t/t1676/

 

 

今度は、太田記念美術館 Ota Memorial Museum of Art

(http://www.ukiyoe-ota-muse.jp)での
”落合芳幾展”が半券で割引がお得に開催されているので、行ってみよう。

 

 

外は夕暮れどき、日差しはまだ暑かった。
少しふくよかな女性が美術館前の公園でゾウのオブジェの尻を叩いていた。
あぁ、夏なんだなと、ふと思った。