臍からキノコが生えた日には

例えば人間、川に落ちればカエルの子。

『朝食、昼食、そして夕食 | この映画に腹がHELL』

f:id:kabiru:20180921163913p:plain


No.001 朝食、昼食、そして夕食{邦題} 

 

エルサレム、バチカンと並ぶキリスト教三大巡礼地のひとつサンティアゴ・デ・コンポステーラを舞台にスペインの日常にある風景を朝食、昼食、夕食の一日3食を通して切り取り繋いでいる人間ドラマ。


 

◆◆◆◆

 


映画『朝食、昼食、そして夕食』予告編

 

◆◆◆◆


 スペインの朝昼晩と三食のご飯がのぞける映画。

 スペインの地元食のことは、スペインに行ったことがないので、良くは分からないが、日本でいうとことろの納豆に焼き魚、味噌汁に炊きたての白米みたいな定番メニューなのだろうか?知らないけど。
 日本でも、地方によって食事事情が違うようにスペインの中でも、バレンシアなんかとはまた別なのだろう。

 それぞれの食事を出てくるキャラクターのストーリーに沿って観せていく。その出てくるキャラクター同士の繋がりも面白い映画。ただ単に食事を見せたいのではなくて、キャラクターそれぞれの事情があって、それに沿ってこんな食事をしているのだろうと観せている映画。

 すごい美味しそうな豪勢な料理が出てくるわけでもなく。スペインの方から観れば、食事よりは、ヒューマンドラマがメインなのかもしれない。
 日本人としての感覚では、小津安二郎監督作品に近いのかもしれない。

 さすがだなと思うのは、食材のフレッシュさ。オレンジジュースは、パックに入ったものをコップにジャーッってのではなく、きちんと果実から絞って作っているし、ハムやソーセージなんかもスーパーでパック入りではなく、精肉店で加工した自慢の一品?を買っているし。それもあってのことで、より美味しそうに思えたりもするんだね。

 日本では、商店街がきちっと機能しているところではない限り、食材を専門店から買うのって難しいし。果たしてスーパーで買った寿司は、美味しいのだろうか?どうだろう?日本人は、食に乏しくなっていっているのかもしれない。

 食事は色々出てきて、それぞれ、本当に美味しそうで、いい映画なのだけど、一番良かったのは、おじいさんとおばあさんが何も言わずにご飯を食べているシーンが良かった。

 そのシーンに関しては、特にストーリー展開があるわけではないと思うのだけど、あまり清潔な感じのしない少し汚れた感じの食器で二人黙々と食べるシーンが良かった。あっ、デザートも食べるんですねって。

 結局、彼らの人生が全て上手くいくわけではないのだけど、そういうドラマって食事の中で生まれて消えていくという映画なのかもしれない。

そして、最後のシーン。

 ミステリーやサスペンス好きの人は、ちょっとニヤッとしてしまう、何か含みをもたせたラストシーンで、この映画は終わる。