お題「コーヒー」
『コーヒー』
肩甲骨の穴にコーヒーを詰める作業を
毎日の様に工場で繰り返す日々が続いた日曜日の朝
本田から思わぬ一報が届いた。
「明日の夜、飛来桝跡でいよいよ決行する。ついては、コーヒー持参で頼む。」
そう、半年ぶりだ。
一度は、失敗したもののこのチャンスは逃せなかった。
本田と豊田、日産が集まることもままならぬまま、
チャンスを半年も逃してしまった。
糖分摂取を控える者達には、
事の重大さは、わかっていまい。
一時期の甘美を貪り尽くし
ミルクとのダンスをそのカップの中で踊る。
地球の自転とは反対周りに
夕暮れは近い。
今、豆達は歓喜を叫んでいる。
アラビア半島とインドの融合にしびれを切らす
まだだ
今は、挽きに専念する
一滴一滴を大事に
山腹の木に実る
血の様に赤い実が
山羊からカルディへと伝わる
そして、カフェインの穴から
さび病へと
もう、この農園も壊滅する
レユニオン島では
ティピカの突然変異が始まっていた。